危機管理、政治を立て直せるのか(2011.10.12)
9月29日、千葉の「正論」懇話会にて講演しました。
以下、その内容について掲載されました産経新聞記事を転載いたします。
************以下、9月30日付 産経新聞(千葉版)より***************
野田内閣の外交政策には、本当に失望した。
野田さんはこれまでの論文で「日米関係がいかに大事か」「中国は日本の脅威である」と言っていた人なので、鳩山内閣や菅内閣で全く抜けていた外交、治安、防衛を組み立て直すだろうと期待していた。
だが、9月の訪米でオバマ大統領に「(米軍普天間飛行場移設問題の)結果を出す時期が近づいている」と言われたのは恥である。
しかも何も分かっていない素人に外交、治安、防衛の大臣を任せたものだから、役人がやる気をなくしてしまった。
こんな状況では「浅間山荘に突入せよ」と言っても機動隊は突入しないだろう。
今後、日本は「日米100年同盟」を結ばないと危ない。
日米安全保障条約が昭和35年に批准してから51年目。
何となく惰性で続くものと思っているかもしれないが、1年前の事前通告で、どちら側からでも任意に打ち切れるという条約だから、こんな状態が続いていると実は危ない。
米国は6カ国協議にアジアの平和を委ねているが、北朝鮮の核武装を阻止する責任は中国に与えている。
ロシアのプーチン氏が再び大統領になれば、対日姿勢は強硬的になることは間違いない。
中国も反日教育が始まる可能性がある。
そして、一番恐れているのは朝鮮半島の統一だ。
反日で核武装した南北統一朝鮮共和国が誕生したら、米国に頼っても守ってくれるかどうかわからない。米
国は中国の方を注視するかもしれないという危険もある。
そこで日米安保を結び直し、「100年同盟」の関係に深化させていく必要がある。
※ホームページへの転載にあたっては、新聞掲載の記事に新たに改行等を加えてあります。
本文のタイトルも、新聞に掲載されたものです。
東北関東大震災について(2011.3.29)
3月16日の緊急提言に続き、重ねて提言します。
序――まだ「コップには半分の水がある」。
今からでも間に合う。
以下の提言を菅総理、本気で決定せよ!!
「委員会の立ちあげ」無用。
「シッカリ検討する」のも無用。
“Do it now”――決断し、責任をとる覚悟で命令せよ。
1.事態は平時でなく非常時である。
平和時の地方自治体の活動を前提とする「災害対策基本法」から、国家非常事態に備えて中曽根内閣(後藤田官房長官)により1986年7月1日から施行された「安全保障会議設置法」に切り替えるべし。
事態は、「人命の危機を伴う大自然災害」である。
災害対策基本法第28条の2「緊急災害対策本部の設置」は、同法制定後初めてのことであり、阪神大震災時の村山内閣よりは一歩前進だが、これは物流確保・物価安定のための買いだめ売りおしみを強権をもって防ぐ「経済戒厳令」であり、経済産業大臣の指揮下にあるが、安全保障会議は内閣官房長官が所管大臣で、補佐機関は当時新設された内閣安全保障室長(現・内閣危機管理監)である。
その下に外務・防衛・警察・消防・海保などが入る「国家危機管理機構」なのである。
2.国民保護法の準用も
原発において万が一「メルト・ダウン」が起きた時点で、小泉内閣時代に民主党も賛成して成立した「国民保護法」を準用すべし。
同法は「武力攻撃事態」を前提としているが、一部改正あるいは総理解釈でこの事態に準用すべし。
警報→避難誘導→緊急輸送→緊急治療→被災民の救護と、本件のニーズがすべて規定されている(第44~79条)。
また第107条には「放射性物質等による汚染の拡大防止」の条文もある。
3.前回からの提言
警察法第71条、72条の「緊急事態の布告」の用意をすべし。
同布告が行われると、全国24万警察官は総理の指揮下に入る。
現在は管区機動隊5500人以外は各都道府県公安員会の指揮下にある。
4.海上輸送の活用を
大量避難は、陸上ではほとんど不可能である。
港湾の復旧を急がせ、仙台、八戸、気仙沼などの港に海上自衛隊の大型輸送艦「おおすみ」「くにさき」や、ヘリ空母「ひゅうが」、掃海艇母艦「ぶんご」などを集結させ、ホバークラフト、ヘリなどで日本版の「ダイナモ作戦」(第二次大戦時のダンケルク撤退作戦)を実施すべし。
また、米海軍の原子力空母「ロナルド・レーガン」、強襲揚陸艦「エセックス」、「トルテューガ」の支援を求め、海路の救出を考慮せよ。
避難先は、首都圏FEMAの8都県市。
5.「政治主導」撤回を
「政治主導型」の宣言を撤回し、菅総理が誤りを認めた上で、次官会議はじめ各省庁の全面協力を懇請せよ。
役人の協力なくして政務官たちをいかに増やしても、無能で未経験で不勉強な政務官がたとえ50人集まったとしても「無能の50倍は無能」である。
6.「ヤマタノオロチ」体制で
内閣官房長官は国をあげての放射能危機の対策の総まとめ役の危機管理大臣であって、福島原発危機に専従の「広報官」ではない。
朝から晩まで3週間1人で、原発の危機管理スポークスマンであってはならない。
感情を抑え冷静沈着、連日半徹夜の過酷な任務に耐えるリーダーとしての資質は高く評価し、その労を多とするも、長期戦に入った危機管理は、交代制の「ヤマタノオロチ」体制をとらなければいけない。
平時は「すべての頭が眠ってはならない」「必ず1つか2つの頭はアラートであれ」。
有事は逆に、「全部の頭が起きていてはならない」「必ず交代で眠れ」という基本原則である。
内閣には副長官が3人もいる。
内閣広報官も内閣危機管理監もいる。
このままでは、いずれ総理以下全員が睡眠不足から健全な判断能力を失い、大変な誤判断をする恐れがある。
早く交代制にするべし。
7.機能しない外務大臣
9.11のとき、コリン・パウエル国務長官は頻繁にテレビに出て、次々と弔問に来る各国指導者や応援部隊、ボランティアたちに、間断なく謝辞を述べ、協力を依頼していた。
松本外相は、ただでさえ面識率・知名度ゼロに等しい大臣である。
テレビに頻繁に出て、各国の援助に礼を述べるべし。
大新聞も、まず同盟国アメリカの「トモダチ作戦」の活動(空母、揚陸艦ら19隻、1万8000人、航空機140機での応援)に対し、大きく謝辞を述べるべきである。
ボランティアの受け入れ体制は国が整え、通訳ボランティアも組織化せよ。
湾岸戦争や9.11のときに、ニューヨークタイムスなどは全面に各国の国旗入りで謝意を表している。
それに近いことをしたのは、産経新聞だけではないか。
朝・毎・読・日経は、直ちに国費による謝礼の大広告を掲載せよ。
8.交番相談員の活用を
被災地は広範囲にわたり瓦礫の山で、自己完結型の自衛隊以外は長期配備がほとんど不可能ときく。
しかし、これからは強盗、窃盗、性犯罪など、警察庁の刑事局・生活安全局がらみの治安対策が急務となってくる。
停電による闇は、犯罪者の味方でもある。
そこで、「交番相談員」(全国約7000人)の動員を提言する。
交番相談員は空き交番対策として創設されたが、60歳を超え、なお身体強健で使命感に燃える警察官OBであり、警察官に似た制服を着て、拳銃こそ持たないが警棒は所持している、いわば予備自衛官ならぬ予備警察官である。
これから先、自殺、家族紛争、セクハラなどが予想される数千か所の避難所に交代勤務させ、「相談員」としての多年の経験を生かして、防犯の任に当たらせるべきである。
9.活動経費を支給せよ
現地派遣の自衛隊、警察官、消防官などが一様に困っているのが、ガソリン代、食費などの公務の活動経費である。
予算的には3500億円の予備費が枯渇しているのはわかるが、また予算案成立が遅れていることはわかるが、4月1日から「現金」を工面して派遣部隊に配布することが必要だ。
10.失言の公的謝罪
仙谷由人氏は、全国放送のテレビに出演し、「暴力装置」「武器を持った集団」と、いわれなき謗りと侮辱を与えた自衛隊、海上保安官に公式に謝罪してから、官房副長官に復帰せよ。
国民は命がけで原発のメルト・ダウンを防ごうとし、災害地で行方不明者を捜索している自衛隊員、警察官、炉心冷却のため文字どおり命がけの放水を行っている消防官、そして使命観だけで危険な修復作業に従事している東電や下請け協力会社279人の職員たち。
これほど少数の人々に1億2000万人というわが国の国民の安全が委ねられたことは、史上例をみない。
皆、手を合わせて感謝している。
それを「暴力装置」と呼んだ仙谷氏よ、まず謝れ。
結語――世界中が日本民族に驚嘆し、賛辞を呈している。
前回も少し述べたが、日本人の、とくに東北人の忍耐強さ、冷静さ、勇気に、まさに世界中が感心している。
「被統治能力(ガヴァナビリティ)」にかけては、阪神大震災時にもそうだったように、日本民族は誇るに足る一等民族だ。
それに比べて、「統治能力(ガヴァナンス)」のお粗末はどうだ!
まさに国辱ものである。
放射性物質の数値を、1万倍、10万倍、1000万倍(!)、そしてまた10万倍とは、恥ずかしくて表を歩けない。
国民は主権者である。
ただ、それは4年に1度しか行使できない間接民主主義だ。
いま、日本人がその優れた「統治能力」を行使する4年に一度のチャンス、統一地方選がそこにある。
国民の皆さんには、己の投票行動に責任をもってもらいたい。
私も、日本を東京から守るため、病躯老骨にむち打って尽力する所存だ。
今回の大地震について(2011.3.16)
今回の震災で被災されました方たちには、心より御見舞い申し上ます。
不幸にも犠牲となられてしまいました方には、心よりご冥福をお祈りいたします。
避難生活をお送りの方には、苦しい毎日でしょうが、必ず日は昇りますので、気持ちを強く持って、頑張っていただきたいと思います。
また、私は、以下の緊急提言をいたします。
序――福島原発の爆発事故の可能性が高まっている。
菅内閣は、国民と共に、一喜一憂することなく、速やかに次のごとき国家危機管理の諸施策を緊急実施すべし。
1.警察法第71条、第72条の「緊急事態の布告」を行い、大余震や大津波の再発、福島原発の爆発という最悪の事態に備え、全国24万全警察官を総理大臣が掌握する要あり。(自衛隊は総理が総司令官だが、消防法には総理の名はなく、全国1308市町村首長が指揮権を持っている。警察官は47都道府県公安委の指揮)
何十万人という国民の避難誘導は、「国民保護法」の初適用となり、その準備は急務である。
2.「10万の自衛隊」というが、陸路では現地到着は困難であり、空と海の活用が急務。
空は、民間ヘリのボランティア認可(民間への着陸許可が遅い)、ドクター救命ヘリの国費による動員を。
海は、沿岸フェリー、漁船など、民間船舶をチャーターし、第二次大戦のダンケルク撤退作戦の「ダイナモ作戦」を実行せよ。
3.国民は不安に陥り、石油ショックの如き食糧・日用品・防災用具の買い出しに走りパニックが始まっており、ガソリンが不足している。
「緊急災害対策本部」は「経済戒厳令」とよばれるほど、企業の金儲け主義の物資隠匿、売り惜しみを取り締まる非常大権を総理に与えている。
物価の統制、流通促進の大号令を発せよ。
4.「学童疎開」(戦時中の「集団疎開」)の準備をすすめよ。
父兄の間に「関西への子ども避難」の動きもあり、在日外国人、アメリカ大使館員の妻子などは本国や関西への避難も始まっている由。
輿石東氏(日教組)は学童疎開、春休みの延長など、児童保護について発言せよ。
5.内外のボランティアを「国家勤労奉仕隊」の国が編成し、職能に応じて医療・輸送・介護などに組織化し、国費で運用せよ。
ボランティア担当の「政治主導」や、蓮舫氏も辻元清美氏も不適任。
ボランティア諸団体代表により、互選または指名させよ(阪神大震災の教訓)。
6.自警団の編成をせよ。
過疎地帯であったところで、消防団・青年団など、若者の「自警団」を編成させ、暗数となりやすいセクハラや婦女暴行を未然に防止せよ(阪神大震災の教訓)。
老人婦女子は、男が守れ(自助互助を)。
7.予備費の現金を、応援部隊に至急配分せよ。
現在は隊員が手弁当で活動中である。
警察部隊などへの燃料優先配分を行うべし。
8.外務大臣の任務
新外務大臣は、知名度・面識率ゼロに近い。
テレビ記者会見に出て、米英中など56カ国に間断なく謝辞を述べよ。
京都の中国使節団の会議後の観光など、相手が遠慮しているのに行うとは非常識である。
9.イベントの中止延期
政府関係のイベント、会議、行事は、中止または延期を早めに決定し、関係者の混乱を防げ。
不要不急の行事は政府から中止又は延期せよ。
10.国民の忍耐力には驚嘆すべきものがある。
生活必需物資・燃料などの「買いだめ禁止」を消費者に求めず、事業者に「売りおしみ禁止」を求めよ。
国民の「被統治能力(ガヴァナビリティ)」は、賞讃すべきレベルの高さであり、略奪も暴動もデモもない。
反省すべきは「統治能力(ガヴァナンス)」の欠如である。
国民の忍耐力にも限度があり、「デマを流すな」「買いだめするな」の前に国民に能率的に必要物資を流通させよ。
11.予備自衛官の召集より、危機管理経験に富む官僚OBを召集せよ。
阪神大震災、東海村JCO事故などの大災害を処理した官僚OB(的場順三、志方俊之、岡本行夫、小川和久、国松孝次、堀貞行各氏など)を、三顧の礼を以て予備役召集し、意見を聞け。
無能無経験不勉強の政務官や官邸官僚が何十人集まっても、無能は無能である。
「政治主導」だの「官僚排除」という依怙地の菅、仙石氏らの偏見は、死者の数を増やす。
12.広報
法律上、国家危機管理の責任閣僚である枝野官房長官が、早朝から深夜までテレビ記者会見に専念しているのは誤り。
内閣広報官、危機管理監にまかせ、官房長官会見は1日2回と決めるなどして、官房長官は国家危機管理の統括指揮にあたれ。
彼らが日本を滅ぼす(2011.2.2)
強制起訴になった小沢一郎氏は、無実を主張し、国会の証人喚問はおろか、政倫審への出席も拒否しました。
離党勧告も除名も証人喚問もできない菅直人総理も情けない。
仙谷由人代表代行の傲岸不遜な態度も、いっこう改まりません。
民主党の内部は四分五裂、支離滅裂。
学生運動などと無縁だったはずの鳩山由紀夫前総理は、他人事のように「(自発的離党を求める声は)実は自発的というよりむしろ強要であって、学生運動華やかなりし頃の言葉のように聞こえてならない」と感想を述べました。
この鳩山寸評は、めずらしく言い得て妙で、まさに民主党内閣の本質を直視したものと癒えます。
1970年代前後に跳梁跋扈した極左過激派学生運動とは、日本共産党の指導する全学連、すなわち黄色ヘルの民青とのイデオロギー的対立から分派した「三派系全学連」による世界同時・急進・暴力革命を目指したものでした。
その三派系が近親憎悪からたちまち分裂対立し、「五流二十三派」に分かれて内ゲバをくり返し、その行き着く先が「連合赤軍あさま山荘事件」」だったのです。
まもなく、あさま山荘事件の39周年が巡ってきます。
政権交代を遂げた民主党は、まさにフロント派あり、ノンセクト・ラジカルあり、非武装中立を唱える旧社会党あり、マニフェストで国民を欺して、政権を簒奪した百鬼夜行のフロン・ポピュレール(それも共産党好きの)人民戦線である。
そこへ2月1日、衆議院予算委員会で自民党の柴山昌彦議員が枝野幸男官房長官とJR総連革マル派との不審な関係を暴露しながら、革マル派を巻き込んでのセクト闘争と化しました。
こんな内閣で、日本の安全保障は一体どうなるのでしょうか。
「日米同盟の深化」が聞いて呆れます。
もし、あさま山荘事件で殉職した内田尚孝、高見繁光両氏が甦ってきて現状を見たら、一体なんというでしょう。
こんな日本にするために、警察官たちは命を捧げたのではありません。
事件警備を現場指揮し、その壮烈な殉職を目撃した指揮官として、私は彼ら、日本を滅ぼそうとしている似非革命家をゆるすことはできません。
その怒りをぶつけた拙著『彼らが日本を滅ぼす』(定価1200円+税)が、2月10日に幻冬舎から緊急出版されます。
志ある方はどうぞご一読いただき、私と怒りを共にし、平成維新の風を起こしていただきたいと思います。
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